研究課題/領域番号 |
05610018
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊東 祐之 三重大学, 人文学部, 教授 (50011359)
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研究分担者 |
松井 良和 三重大学, 人文学部, 教授 (60086163)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ツォンカパ / 『中論』 / 『正理海』 / 中観派 |
研究概要 |
本研究はツォンカパ(1357-1419)による『中論註釈書・正理海』の内容を分析、検討することを目標とする単年度の研究である。研究代表者は研究全体の総括とともに、『中論』における言語と論理に関する検討を行い、他の2名の研究分担者は、空の哲学的意味の探求と『正理海』(第24章を中心として)の訳注および内容分析をテーマにして研究をすすめた。 単年度ながら、本研究は以下の諸点を明らかにすることができた。1.ツォンカパのこの注釈は、『中論』の詩頌の解釈に関するかぎりブッダパーリタ(470-540頃)およびチャンドラキールティ(600-650頃)の解釈に依るところが大きいこと。とりわけツォンカパは、チャンドラキールティの『プラサンナパダー』および『入中論』をフルに援用して注釈を施している。2.同時にまたツォンカパは、『正理海』第24章のなかでチャンドラキールティの上述の二書および『六十頌如理論注釈書』の三文献を活用しながら、バーヴィヴェーカ(490-570頃)とジュニャーナガルバ(700-760頃)による中観自立論証派による勝義と世俗の二真理解釈を批判する。3.以上の2点からもうかがえるように、ツォンカパのこの書は、中観帰謬派とりわけチャンドラキールティの『中論』解釈を基礎としながら、インド中観派のその後の展開をも視野に入れ、必要に応じて中観自立派批判を織り込みながらツォンカパ独自の注釈を施す、きわめて思想史的な意味をもつ文献の一つであることが判明した。
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