研究課題/領域番号 |
05610020
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
桂 紹隆 広島大学, 文学部, 教授 (50097903)
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研究分担者 |
稲見 正浩 島根県立国際短期大学, 助教授 (70201936)
小川 英世 広島大学, 文学部, 助教授 (00169195)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ディグナーガ / アポーハ論 / 仏教論理学 |
研究概要 |
本研究の目的は、ディグナーガの主著『集量論自注』(Pramanasamuccaya-vrtti)の第5章「アポーハ論」の詳細な和訳研究にあった。そのため、上記の研究組織に、原田和宗・本田義央の両氏をくわえて、同書の読書会を定期的に開催した。その際、従来十分に利用されてきたとは言いがたいジネーンドラブディの『復注』(Tika)の重要性に着目し、その和訳研究にも並行して取り組んできた。 その結果、次の様な重要な方法論的問題を自覚するようになった。 すなわち、大変不完全な2種のチベット語訳しか存在しない『自注』の解釈にあたっては、従来の研究者が試みてきたように、出来るかぎりのサンスクリット断片テキストを収集して、原型としてのサンスクリット・テキストを想定した上で理解するのが最も有効な方法である。我々の研究グループにおいても、既に原田氏によって、ジャンブヴィジャヤ師の梵文還元の試みに基づく、貴重な還元サンスクリット・テキストが完成されている。また、それに基づく和訳も原田氏のものと、研究代表取者桂のものが、準備されつつある。いずれ近い将来に公刊の機会を得たいと願っている。 他方、比較的良好なチベット訳が1本存在する『復注』の場合は、必ずしも『自注』と同じ方法論が適用できないことが判明した。勿論、ジャンブヴィジャヤ師は、常に還梵テキストの提示を試み、成功してきたのであるが、以下の我々の和訳研究が示唆するように、『量評釈自注』(Pramanavarttika-Svavrtti)などの引用を除いて、サンスクリット断片が極端に少ない『復注』の場合還梵テキストの提示は必ずしも容易ではないし、また、あまり実りの多いものとは言えない。むしろ、かつてシュタイケルナ-が提案した、断片テキストの階層的処理というプラマーナ・テキスト研究の方法論を積極的に適用すべきである。
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