研究課題/領域番号 |
05610025
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 高野山大学 |
研究代表者 |
武内 孝善 高野山大学, 文学部, 助教授 (60131611)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 寛平法皇(宇多天皇) / 寛平法皇御作次第 / 密教作法次第 / 四度次第 / 潅頂 / 広沢六流 / 寛平御遺誡 / 寛平法皇 |
研究概要 |
1.寛平法皇の御作次第については、いくつかの報告があるが、それらは典籍名・部数いずれにもばらつきがあって、不明の部分が少なくなかった。しかるに今回、九種の御作次第を確認することができ、法皇の仏教関係の著述の全貌をほぼ解明することができたことである。九種の御作次第とは、(1)十八道念誦次第1巻、(2)金剛頂経蓮華部心念誦次第2巻、(3)同1巻次第、(4)胎蔵秘密略大軌2巻、(5)胎蔵略述1巻、(6)三魔耶戒文1巻、(7)三親王潅頂時儀式昼作法1巻、(8)同夜作法1巻、(9)延喜十八年大覚寺御潅頂式1巻、である。 2.従来、法皇の御作次第で活字化されていたのは、上記の(1)と(3)の二つだけであったが、今回九種すべてを翻刻・集成できたことである。特に、(4)・(5)・(7)の三つは法皇御自筆本を底本として翻刻したものであり、その資料的価値は計りしれないと考える。 3.(9)延喜十八年大覚寺御潅頂式は、これまで法皇の著述であることが忘れられていたが、潅頂の日時・場所などから延喜十八年(918)八月、嵯峨大覚寺において法皇が寛空等七名に伝法潅頂を授けたときの次第とみなして大過ないと考える。これより、従来一部だけと考えられてきた法皇の潅頂の際の儀式書は、延喜八年五月のときの(7)・(8)と同十八年八月のものとの二種類伝存することが明らかとなった。 4.法皇の御作次第のなか、(2)・(3)の金剛頂経蓮華部心念誦次第は、広沢六流の保寿院流・華蔵院流・伝法院流において四度次第の一つとして使用されているが、その使用の起源を知りうる古写本がみつかったことである。それは、保延六年(1140)三月、伝法院流の祖・覚鑁のもとで書写された高野山大明王院蔵本で、奥書に「保延六年三月廿五日於高野山密厳院下院奉受始」とあり、使用の起源が覚鑁の時代まで遡りうることが明らかとなった。
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