研究概要 |
1。刺激:定電流電源を用いて,80個の電気的パルスを皮膚の表面に流した.各パルスの提示時間は2msec,パルス間隔を10msecとした.直径10mmのプラス電極を足の甲に貼り,7個のマイナス(直径7mm)電極を腕の神経が走る方向に貼る平行配列条件と神経の走る方向に直交するように貼る直交配列条件を設定した. 2。刺激の定位:7電極のうちの3電極のそれぞれにパルス電流を流し,被験者には間隔が生じたと思われるところを指摘させた.被験者には36人の大学生を用いた.この実験の結果によれば,直交配列条件では電流は正確に定位したが,平行配列条件では実際に電流が与えられた位置よりも数センチていど身体の中央方向にずれて定位した.しかも平行配列条件では直交配列条件よりも判断の変動が一貫して大きかった. 3。電極面積と主観的強度:腕に貼付した電極の直径を2.5mmから30mmまでの6段階に設定し,電極に流す電流を閾値の1.5から3.3倍の5段階に設定して,その組み合わせから生じる30条件のそれぞれに対する主観的な強度をマグニチュード推定法によって評定させた.被験者には24人の大学生を用いた.この実験の結果,弱い電流に対しては中程度の大きさの電極に対してもっとも強い感覚が生じ,大きな直径の電極には中程度の感覚が生じ,小さな直径の電極に対してもっとも微弱な感覚が生じた.また被験者の評定値に対して,ベキ関数をあてはめ,そのベキ指数nを求めたところ,小さい電極に対してはn=3.5を得たが,中あるいは大きい電極に対してはn=2.0前後の値を得た.また同じデータから強い電流に対して刺激の空間的完全加重(complete summation)がみられ,弱い電流に対しては空間的超加重(supersummation)がみられた.
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