研究概要 |
(1)昭和53年に第1回のロールシャッハテストを行った当時60才以上であった旧東北福祉大学教職員(高学歴高齢者群)23人中死亡した者をのぞいた17人と、当時東北大学の大学院生と学生であった成年(統制群)20人中コンタクトのとれた11人について、第2回目のテストを行い、結果を42指標について分析した。第1回と第2回で高い相関(r)を示したのは、高齢者ではDd,H,RTなど19、成年ではC,RT,CRなど18であり、平均値に変化のみられたのは、高齢者ではM%の増加だけであるが成年ではF+%,R_1Tの減少とR,W,F,F%,c,A,At,P,Fc,S,CRの増加がみられた。また高齢者群と成年群に第1回テストでは平均値に差は見られなかったが、今回はR,W,F,C,A,Fcは成年群が大でM%,R_1Tは高齢者が大であるという差が見られた。これらの結果は主として成年群の反応の変化による。成年では必ずしも個々の反応の質の向上と言うより、反応数の増加が目につく。高齢者の反応は個人差はあるものの、全体として変化が少なく安定している。高齢者のM%の増大は、注目すべきであろう。 (2)60才以上の現東北福祉大学教職員15人について、ロールシャッハテストを行い、昭和53年に行った老人クラブ20人と旧教職員23人、成年20人の資料を改めて整理し直して、4群について、42の指標に対して比較したところ、老人クラブ群では、その他の3群に比べてR,W,D,F+%,M,FM,m,c,H,At,Fc,Sと色彩反応が際だって少なく、従来から指摘されている老人反応の特徴を示しているが、新旧教職員群間には、ほとんど差はみられず、両群は成年群ともそれほど差がみられない。
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