研究課題/領域番号 |
05610083
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山岸 俊男 北海道大学, 文学部, 教授 (80158089)
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研究分担者 |
渡部 幹 北海道大学, 文学部, 助手 (40241286)
篠塚 寛美 北海道大学, 文学部, 教授 (30000615)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 社会的ジレンマ / 実験ゲーム / 利得構造 / コミットメント / ネットワーク / 囚人のジレンマ / 信頼 |
研究概要 |
本研究は手段的協力行動の理論を整備するという目標を着実に達成してきた。本研究で明らかにされた最も重要な点は以下の通りである。(1)成員が1次的ジレンマと2次的ジレンマにおける選択行動を連動させることにより、利得構造が客観に信頼ゲームの構造に変換される。(2)目標期待理論は囚人のジレンマから信頼ゲームへの主観的な構造変換を意味している。(3)応報戦略の効果は、その戦略が囚人のジレンマの利得構造を信頼ゲームの利得構造に客観的に変換することによってもたらされるものである。(4)特定の相手との間のコミットメント関係の形成は、不特定の相手との間に存在していた囚人のジレンマの利得構造を信頼ゲームの利得構造へと変換する。(5)「選択的プレイ」状況におけるOUT-FOR-TAT戦略は、相手選択のレベルでの信頼ゲームへの構造変換を意味している。これらの研究成果により、囚人のジレンマの信頼ゲームへの自発的な構造変換を通して、手段的協力行動がコストを伴わずに発生する可能性のあること、したがって手段的協力行動が必ずしも2次的ジレンマを引き起こすとは限らないことが明らかにされた。社会的ジレンマ研究において、N人囚人のジレンマのみではなくN人信頼ゲームに注目する必要があることは、これまでにも指摘されていたことではあるが、本研究の成果により、その理論的根拠がより明確にされた。本研究の結果は、たんに経験的な意味においてだけではなく理論的な意味においても、信頼が今後の社会的ジレンマ研究の中心的な研究テーマとなるべきことを示唆している。
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