本研究の主題は、近代における日本の教育のインドに対する強い影響を東京の日本女子大学とインド女子大学(在プネ)との関係において追求するものであるが、本科学研究費の交付を得て、筆者は主として東京都内の研究機関において、インドの婦人運動、社会改革運動、女子教育活動などの関係資料、日本女子大学の創設者成瀬仁蔵関係、成瀬とR.タゴールとの関係、麻生正蔵とV.ターカルシー及びD.K.カルウェとの関係などの資料、を獲得することができたのみならず、例えば国立国会図書館のインドの専門家、日本女子大学の日本教育史の専門家、アジア経済研究所のインドの専門家などとの有意義な意見の交換によって研究の上で多大の知見を得ることができ幸いであった。また軽井沢の日本女子大学の三泉寮の案内を受け得たことも大きな収穫であった。インドから貴重な多くの資料を得たことも是非付言したい。 本研究の一環として、筆者は「二十一世紀を目指す世界の教育」(九州大学出版会、近刊)でインドのそれを本研究を踏まえ歴史的に論述した。また「教育と医学」(慶應通信、近刊)でインドの家庭教育を取り上げ、インドの母親や娘の問題に焦点を置き本研究の成果を生かした。更に現在、日本女子大学からの依頼で同女子教育研究所の女子教育研究双書 9号」に「近代インドの女子教育思想-D.K.カルウェを軸に-」を執筆することとなり現在、その作業を進めている。
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