1.資料の収集と整理 教育権回収運動というのは、中国の主権としての教育権を回収しようとする民族主義の運動である。次の所で資料を収集し、整理した。 (1)東京大学東洋分化研究所と京都大学人文研究所の東洋学文献センター ここで収集したのは近代中国の主な教育雑誌であるが、1920年に入ってすぐ、民族主義教育の主張が高まり、その主張と運動は全面的な日中戦争開始まで断続的に継続されたことがわかった。 (2)外交史料館 日本外務省記録から教育権回収運動関係の資料を収集した。キリスト教学校に関する豊富で克明な記録が残されているのは、一つには中国の教育をめぐってアメリカへ対抗意識からであろう。さらに、日本の中国における教育事業への波及を恐れたためであると考えられる。 教育権回収運動とアメリカ帰りの留学生 教育権回収運動を進めたグループは次のように三つあることがわかった。 (1)国民党関係者 (2)共産党関係者 (3)一般の教育関係者 この中では(3)の教育関係者の影響が最も大きく、教育雑誌を舞台にして、全国的な運動を進めていたが、これらの運動のリーダーはアメリカからの帰国留学生が多いという事がわかった。
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