研究課題/領域番号 |
05610282
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 金沢経済大学 |
研究代表者 |
藤井 一二 金沢経済大学, 経済学部, 教授 (00139742)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 東大寺荘園 / 農事暦 / 荘園絵図 / 越中国鳴戸荘 / 石粟荘 / 古代荘園 / 東大寺領荘園 / 荘園遺跡 / 荘園村落 / 荘所 / 神田 / 労働力編成 / 農事 |
研究概要 |
平成5年度の研究成果を踏まえ、東大寺領荘園の集中する越中国砺波郡・射水郡の地域を主たる対象として検討を進めた。その際、現存史料と地理的景観や関連する考古学的成果を吸収して考証することを重視したが、そこでの課題と成果に関する概要は次の通り。 (1)農事暦に関する文献・考古学資料の検討作業を進めたが、奈良時代の1年間の農事について、農繁期と農閑期に分けて整理し、季節・月ごとの具体的行事や慣行を吟味し、とくに秋収後の閑月は国家が農民に対して各種の徴税・力役の徴発を実施する期間であるが、一方の農民にとってはこうした義務的負担をこなし、次年度の農繁期の生産活動の再開に向けて、営料・食料を準備する重要な段階になった。 (2)古代荘園と周辺村落を検討対象として、天平宝字3年・神護景雲元年の荘園絵図を中心にして、とくに越中国射水郡の鳴戸荘の成立と開発過程を検証した。その結果、鳴戸荘の立地・環境の特徴として、成立段階の占定対象に葦の群生する野地が広く展開していた実情が明らかとなり、さらに、開田をふくむ荘域周辺には、荘地の開発・耕営に関わる営働力を包摂する村落が形成され、そこに、他地から移動・進出した農民の口分田や墾田が次第に集中していったものと理解した。 (3)奈良国立博物館蔵の「越中国砺波郡石粟村官施入田地図」の基礎的検討を試み、図中の開田・未開田積の理解を通じて、同地図が石粟荘の前史をなす橘奈良麻呂の所有段階を反映していることを実証し、その田積は、東大寺へ施入された石粟荘112町とは一致していない事実関係を明らかにした。
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