本申請の目的 奈良・平安時代前半(8世紀〜11世紀前半)に中国から日本にもたらされる初期貿易陶磁器が出土した遺跡を、遺構・遺物の両面から資料収集し、遺跡の性格や需要階層像を求めることである。 平成5年度実績報告 九州地区の62遺跡について、筆者の1990年現在の基本資料に追加した。追加した遺跡は佐賀県12遺跡、熊本県3遺跡、長崎県16遺跡、宮崎県4遺跡、鹿児島県5遺跡、福岡県22遺跡である。 図版資料:【.encircled1.】周辺遺跡分布状況と出土遺跡位置 【.encircled2.】発掘調査遺構図 【.encircled3.】初期貿易陶磁器実測図 【.encircled4.】共伴遺物実測図 【.encircled5.】初期貿易陶磁器写真。文字資料:【.encircled6.】共伴遺物 【.encircled7.】調査遺跡の性格。【.encircled1.】【.encircled2.】【.encircled4.】【.encircled5.】【.encircled6.】【.encircled7.】は報告書を基本資料として複写などで集成した。【.encircled3.】【.encircled5.】は保管場所で実現できた28遺跡について実測・撮影した。なお福岡県については報告書による調査にとどまり、実現しての実測および撮影は来年度に行いたい。 問題意識 1)長崎県のもつ特異性が注目される。長崎県松浦半島や、五島列島周辺の島は中国からの航路の中継点として位置づけられる。特に離島の6遺跡から初期貿易陶磁器が出土している点は中国船の寄港を考えさせる。 2)南部九州の遺跡で、出土した越州窯系青磁碗の型式構成が3型式前後と限られる遺跡があり、1回の購入を推定したい。中国陶磁の搬入が複数回と想定される、鴻臚館周辺の遺跡群との立地的な差であろう。
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