研究概要 |
統率と束縛理論の枠組みにおいて、英語の他動詞結果構文については〔_<v'> NP AP〕のような三項分析が妥当であり、一方、自動詞結果構文に対しては、派生の途中での「外置」操作を含む複合動詞分析〔_<vp>〔_<v'>〔_<v1'>〔_<v2,>V〔_<AP> t_1〕〕NP〕AP_1〕〕が適当である。これらの分析は、結果構文の動詞後名詞句及び結果の二次述語の長距離移動の現象(の一部)を説明する。 極小主義理論における連鎖の同質性を合法的LF構成物の理論は、全く異なる観点からこの結果の二次述語の長距離摘出の現象と説明する。連鎖形成によって形成される結果の述語に対する連鎖は、連鎖の末尾が〔+L,+θ〕であるので非同質的である。故に、^*標示による違反中間痕跡t^*は削除され、LFには残らない。この点で付加詞等が形成する同質連鎖とは異なることになり、正しく空範疇原理違反ほどではない下接の条件違反のみを惹起する。 最後に、日本語の二次述語の構造的特性は英語の二次述語のそれに極めて類似している。それらの統語的特性は、θ役割付与、叙述、修飾、そして、制御に関する一般的な原理によって説明される。特に、相互c統御によって定義される「修飾」という概念が二次的叙述を特徴付ける。すなわち、二次述語は、述語として機能するだけではなく、修飾語としても機能するということである。なお、この分析は極小主義理論の枠組みにおいて可能となるものである。
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