研究課題/領域番号 |
05620010
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
戸波 江二 筑波大学, 社会科学系, 教授 (00155540)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 科学技術 / 遺伝子工学 / 生命倫理 / 学問の自由 / 科学技術規制法 / 環境権 / 個人の尊厳 / 人格権 / 先端技術 / 遺伝子技術 / 遺伝子治療 / 人間の尊厳 / 研究のが自由 / 環境保全 / 自己決定権 / 研究の自由 / 環境 / 自己決定 |
研究概要 |
1.科学技術の急速な発展によって生じた生命・健康・環境への重大な危険をどのように統制べきかを憲法の人権理論の観点から考えることが、本研究の目的であった。とくに問題となるのは、一方では、科学技術の研究の自由の限界であり、他方で、科学技術の発展によって脅かされる生命・健康、環境、人格等の保護である。 2.外国との比較では、科学技術の統制に関する法律問題が活発に論じられているドイツが参考になる。遺伝子技術法の制定に際しては、議会の調査委員会が長年にかけて検討し、1990年に遺伝子技術法が制定されている。そこでは、危険防止のために遺伝子技術関連施設の設置の許可制が定められ、実験レベルに応じた規制や営業施設と研究施設との扱いの相違などが規定された。なお、遺伝子技術法は、他国との競争やEC指令との関係で1994年に改正されている。 3.学問の自由(憲法23条)は、大学の大衆化などのために現代では大きく変貌しているが、とりわけ先端技術の研究の自由は、遺伝子工学にせよ医療技術にせよ、生態系や遺伝環境、生活環境に不可逆的な危険をもたらしかねないために、法的に規制されざるをえない。しかし、規制が過剰になり、自由な研究を阻害することは避けられなければならない。その規制は、合理的な根拠に基づき、科学技術の水準の確定などの専門的見地を加味して、総合的に決すべきである。限界の確定には、法律によることが妥当であろう。 4.科学技術の研究の自由を抑制する根拠は、生命・健康や環境権の保護に求められるが、その根底には人権の基本原理としての「個人の尊厳」がある。個人の尊厳は、人間尊重の思想に基づく具体的な措置を国家に要求する具体的権利と考えることができる。そこでは、個人の尊厳の原理から、個人の自由な自己決定、個人の人格の保護などが導き出され、個人のアイデンティティの確保が要求される。人間の存在を否定し、人間の尊厳を傷つけることを目的とし、またはそのような結果をもたらす科学技術研究は制約される。
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