研究課題/領域番号 |
05620043
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
フェルドマン オフェル 筑波大学, 第1学群・社会学類, 外国人教師 (50208906)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 自尊心 / 社交性 / 教条主義 / 政治心理 / 国会議員 / 自己知覚 |
研究概要 |
本研究は、1993年の総選挙で新たに選出された衆議院議員に対して一つの質問票を作成することから始まった。この質問票には110名が回答し、この数字は初当選衆議院議員の85.3パーセントを表している。質問票の回収率が高いことと、各政党から66パーセント以上の議員を含むという二点から、本調査によって日本の衆議院の新人の全体的な傾向を探ることが可能となった。また、質問票に回答した議員のうち90名には追ってインタビューを行い、質問票から得られたデータより、さらに多く詳細な情報を得ることができた。 国会議員に対して配付した質問票では、パーソナリティのいろいろな側面を検証するための変数が用いられている。たとえばジラー(Ziller,1973)の考案した自己-社会シンボルや、ロキーチの教条主義スケール、以前の職業及び過去や現在を通じて親戚に国政レベルの政治家がいたかどうかなどの回答者の経歴、役割指向、最初に職業的政治家を志した時期、年齢や学歴、性別などである。 加えて国会議員のデータを非政治家と比較するために、二種類の一般市民のサンプルを設定した。第一のグループは筑波大学の学部学生であり計225名、第二のグループは各都県から駅や街頭で無作為に選び、回答を依頼した25才以上の成人(有権者)で計763名、この二つのグループに対して用いた質問票は国会議員に対して用いたものとほとんど同じだが、ただし役割指向に関する質問のいくつかを省略し、支持政党をたずねている。これら一般市民の対象者は計988名であった。 結果によると国会議員は、一般市民よりも自尊心が高く、また社交的である。さらに一般市民に比べて際立った教条主義的パーソナリティ構造を持つことがわかった。国会議員は非政治家よりも閉ざされた心の持ち主なのである。独断主義的パーソナリティが政治的連続性、イデオロギーなどとそれほど相関性を持つことは特に示されなかった。しかし二世議員や地方議員出身の政治家などの社会的背景が国会議員の教条主義に影響しているということは指摘できるであろう。国会議員の心理的要因をテーマに行われた調査はこれが最初である。しかし日本で政界での地位を求めようとする人々はどのようなパーソナリティをもつのかについて、他の民主主義諸国と比較研究を行うためにもさらに深く研究を続ける必要性があるものと確信する。
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