現代の経済社会において経済主体(個人、企業組織および国家など)の間の相互依存関係はますます複雑で多様なものとなっている。その結果、利害の対立や競争が激しくなる一方、主体間での協調 協力関係の可能性も大きく拡大している。本研究では、自己の目的を追及する経済主体間でいかにして自発的な交渉によって協力関係実現の合意が形成されるか、さらに、このような社会的合意いかに発展していくかをゲーム理論の方法論を用いて分析した。 具体的な研究成果は、次のとおりである。 (1)経済主体間の交渉における合意形成過程を分析するために、提携形成と利得分配に関する提案、応答、再提案が繰り返される交渉の動学プロセスの非協力ゲームモデルを提示した。 (2)交渉ゲームの非協力均衡点の性質を解明した。非協力均衡点は、プレイヤーの利得の均衡条件と提案する提携の最適性の条件によって規定され、プレイヤーが提案する提携の組合わせが非協力均衡点の構造の本質的な決定要因であることがわかった。 (3)プレイヤーの将来利得に対する割引率が1より小さいとき、優加法性を満たすゲームでは交渉の合意の遅れはない。プレイヤー全員の提携が形成される効率的な交渉結果が実現するための必要十分条件は、ゲームの平均き、合意される利得分配は均等分配となり、均等分配はゲームのコアに属する。ささらに、プレイヤーの部分提携均衡点の存在も明らかにした。
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