研究概要 |
以前からの研究の継続として、多重Dedekind和をBarnesゼータ関数を使って考察し、いくつかの古典的相互法則の別証をふくむ結果を得た。また、新たに、楕円多重Dedekind和を導入し、相互法則およびZagier型の多重Dedekind和との関係を考察した。これらの結果の概要をシンポジウム“Lattice points in polyhedra"(1993年9月,於フランス,マルセイユ)で発表し、一部を論文として発表した。これからの課題としては、Sczech,Ito等の研究している楕円Dedekind和との関係や、値分布の問題があげられる。後者は実解析的保型形式のスペクトル理論と関連があると思われ、来年度の課題と密接な関係がある。 行列の加法的数論にあらわれる指数和について、次の2つの研究を行った。 (1)Waring型問題の主要項にあらわれる特異級数 (2)行列の分割数の生成関数 (1)については、p進的方法を用いて、特異級数のnon-vunishingのための一つの十分条件を与えた。 (2)については、Mellin変換によって、Dirichlet級数の解析接続の問題に直して考察した。 この問題についても実解析的保型形式のスペクトル理論が必要となり、現在の所、特殊な場合のみの研究にとどまっている。一般の場合はこれからの課題である。 本研究は力学系の理論との関連も一つの目的としている。これに関して、早川は曲面のhomeomorphismの周期点について研究し、その存在のための一つの十分条件を与えた。この結果は論文として発表した。
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