研究分担者 |
鍜島 康裕 名古屋大学, 理学部, 助手 (70240801)
内藤 久資 名古屋大学, 理学部, 助手 (40211411)
谷川 好男 名古屋大学, 理学部, 講師 (50109261)
向井 茂 名古屋大学, 理学部, 教授 (80115641)
北岡 良之 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022686)
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研究概要 |
申請書に記したように,本研究の目標は,次の2つであった。すなわち,第1に,3次のGauss和については既知の,Gauss和とある型の積との関係を,5次のGauss和へと拡張すること,第2に,この3次の場合には既知の関係が,3次のGauss和の数論的性質に,どのような新しい知見を提供するかを調べること。 第1の目標については,計算機による実験を色々と試みたが,希望を与えられるような結果には出会わなかった。したがって,この目標に関しては,ほとんど何の進展もなかった。 第2の目標については,以下の2点の成果があった。第1に,3次Gauss和に対するMatthewsの積公式からHeath-BrownとPattersonにより証明された3次Gauss和の偏角の一様分布を導こうとするときの困難の所在が,ほぼ確実に認識できた。すなわち,上述の積公式は,3次Gauss和を楕円関数の等分値の積で表わすものであるが,この積の偏角の考察において,難かしいのは,楕円関数の積の方にあるのではなく,この積公式において用いられる1/3-setと呼ばれるものによって定まる1の6乗根の方にあるのだということがわかった。第2に,上述のMatthewsの積公式は,素数を法とするGauss和に関してのものであるが,これを法が素数でないときに拡張できる見通しが立った(現在,予想の正確な定式化を試みている段階)。この(現在は予想の)拡張された積公式からは,系として3次の巾剰余記号の相互法則が従う。これは予想外の知見であった。
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