研究概要 |
本年度の主たる研究テーマは上記研究課題において、とくにGevreyクラスの範疇に焦点を絞って問題を考察することであった。1階双曲型作用素系をL(chi,D)=〓A_i(chi)D_i+B(chi)とおく。ここでA_i(chi),B(chi)は問題に応じて適当な滑らかさをもった関数を成分とするN×N行列で、A_0(chi)=I(単位行列)とする。梶谷氏(筑波大)の結果:「主要部のシンボルL_<20>(chi,xi)=〓A_i(chi)xi_iが各点ごとに対角化可能ならばgamma^<(2)>-wellposedである。」が知られている。ここで、一般にgamma^<(S)>は指数sのGevreyクラスを表わす。本研究の目的はこの結果を精密にしてgamma^<(S)>-wellposedとなるGevrey指数は何によって規定されるかを明らかにすることである。そこで次のようなconjectureを与えてその証明を試みた。即ち、「L_0(chi,xi)のJordan細胞の大きさの最大値をrとすれば、s〓〓によってGevrey指数があたえられる。」しかしながら、本研究の途中、多羅間氏(京大工)の結果:「L_0(chi,xi)が各点ごとに対角化可能であってもGevrey-wellposedとはならない例が存在する。」を知るに及び、上記conjectureが成立するためには何らかの条件を付加しなければならないことがわかった。今後、適当な条件下でこの証明を進めたいと考えている。また分担者の溝畑教授は既発表の論文"On some singular boundary value problem for heat operator"で与えた結果の拡張(境界条件が無限次の零点を持つ場合)を進めてきた。
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