研究概要 |
waveletの理論を特異積分作用素の研究に応用するということを目標に研究を行なった。まずwaveletの理論そのものについて理解を深めるために工学研究者とも交流を図り,数理科学研究会に参加し,波の解析にwaveletが応用されている例を学んだ。 特異積分作用素とwaveletの理論を直接結び付ける研究はR.Rochbergの方法“The use of decomposition theorems in the study of operators.(1994)"が有効であると考えられるので研究中である。 特異積分作用素に関する成果は,以下に示すある種の積分作用素の有界性に関する結果である。T^i_j(i=1,2.J=1,2,...)をR^n上のCalderon‐Zygmund型の特異積分作用素とする。そしてB(f,g)(x)=SIGMA_<i=1>T^1_if(x)T^2_ig(x)と定義する。(これはR.Coifman‐L.Grafakos,“Hardy space estimates for multilinear operators."(1992)で導入された作用素である。) Coifman‐Grafakosにおいてはこの作用素がある範囲のp,q,rについてH^p×H^q→H^r有界であることを示しているが,我々はこの作用素の有界性に関するp,q,rの範囲を完全に決定した。(ここでH^pはHardy空間である。) 定理 〓_<Rn>x^<alpha>B(f,g)dx=0 |alpha|<Nのとき (1)B:H^p×H^q→H^r有界(1/p+1/q=1/r<1+N/n) (2)B:H^p×H^q→weakH^r有界(1/p+1/q=1/r=1+N/n)
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