研究概要 |
確率変数Xとs(>0)は互いに独立とする。sが何等かの意味で1に近いとき,Xの尺度混合分布Y=sXの分布関数FはXの分布Gの回りで展開することが出来る.この研究では,展開の誤差項の評価を重視した.一次元の場合については,一般の分布Gについて,2種類の展開を与えた.また,その誤差評価の上限をC_<delta,kappa>・E(s^<delta>-1)^<kappa>形で表現し,定数C_<delta,kappa>を求める方法を提示した.ここで,deltaは0でない任意の実数で構わないが,実用上はGが対称な分布の場合はdelta=±1/2,G(0)=0の場合はdelta=±1,が自然である.とくにGが正規分布,およびガンマ分布(指数分布を含む)のときについて展開項と誤差評価を具体的な形で与えた. Gが正規分布のとき C_<1/2,2>=0.940,C_<1/2,4>=3.47,C_<1/2,6>=11.7,C_<-1/2,2>=0.977,C_<-1/2,4>=2.98,C_<-1/2,6>=10.1 Gが指数分布のとき C_<1,2>=2.19,C_<1,4>=9.51,C_<1,6>=33.6,C_<-1,2>=2.31,C_<-,4>=11.3,C_<-,6>=44.2 この結果はこれまで,部分的にに知られているものを改良している.なお,ガンマ分布の特殊例である指数分布の尺度混合はcompletely monotoneな確率密度をもつ分布そのものである. Xが多変量正規分布,sがランダムな行列の場合ついては,昨年度までに得られたものを改訂した.
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