研究概要 |
1.磁場を持った超新星残骸の進化を,磁場と物質が完全に凍結している(Frozen-in)仮定の元で,磁気流体力学(MHD)シミュレーションに基づいて調べた。一様のポロイダル磁場のみを考え,磁場の方向を対称軸とする,軸対称2次元MHD計算によっておこなった. 2.(1)シミュレーションはTVD法の一種であるMonotonic法を用い,磁場の発散divBを厳密に0に保つ事が保障されている制限輸送法を用いた。この際,特性曲線の方法を取り入れた. (2)局所的に空間分解能を上げる方法の一つである多重格子法が磁気流体力学にも適応可能であることを示した. 3.磁場の効果は,後期において著しく,5×10^<50>ergのエネルギーで0.3cm^<-3>の密度一様の星間空間で超新星爆発が起きる場合,5μGの磁場があれば(1)超新星残骸の占める体積は磁場がない場合の20%以下にまで減少し,(2)また磁場がなければ膨脹を続ける超新星残骸が,磁場の張力の効果により100万年以降(5μGの場合)は収縮に転じさえする. 4.星間空間の高温ガスの割合は以前考えられていたよりはるかに少ない可能性が大きくなった.
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