研究概要 |
交付申請書に記載した研究目的、計画に従って、本研究では素粒子物理学者としての立場から、1.正確に解ける場の量子論の理論的構造と、2.その素粒子物理学における役割をめぐる研究をおこなった。1.に関しては平成5年に於いては、在米中(1990年)に成果を挙げたThermodynamic Bethe Ausatzに関する仕事(Phys.Rev.Lett.65(1990)2102)を大田(武)(D2)と共にSine-Gordon系の場合にさらに発展させて論文をしあげた。 (Nucl.Phys.B419(1994)632),Higher.Spin Supersymmetryの存在、Fractional Chargeの値などで興味深い結果が得られた。平成6年度は前半、筑波大学の伊藤克司氏と協力して、Ising modelを例にとって、相関関数において角転送行列が果たす役割を精力的に調べた。相関関数に対する積分表現を得たが、残念ながら現在の時点では確定的な結論に達していない。(未発表)。平成6年度後半は文田(D3)、大田(武)(D2)と協力して、XXZ spin chainのtwistの変化によるlevel crossingを調べた。Berry Phaseの計算、2,3string解の形成とそのfluctuationなどで著しい結果が得られた。プレプリントを準備中である。2.に関してはいくつかの項目を挙げて思索を深めたが、具体的成果を挙げたものとしては行列模型を用いた。非臨界次元におけるひもの理論の性質の解明に集中している。これは松尾との共同研究、(Phys.Lett.B255(1991)202,B262(1991)233)に始まる一連の仕事の継続である。平成5年度及び6年度の初めまで、いわゆるone-plequette modelを用いたc=1 matrix modelのnonperturbative effectの解析を行った。状態密度に対するnonperturbative effectを含めた表現(Chaudhuri,大下と共著、Nucl.Phys.B409(1993)397)及び多重臨界点での解析(小池との共著、Phys.Rev.D to appear)が主な成果である。平成6年度後半はM2の穴沢及び基研宇治の石川と協力して、two matrix modelからminimal modelが重力にcoupleした系に対するAnnulus(two-loop)amplitudesを求めた。(Phys.Rev.Lett.to appear)この計算に関しては、現在N-loop amplitudesへの拡張が進行中である。
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