研究課題/領域番号 |
05640377
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
時崎 高志 名古屋大学, 工学部, 助手 (20207541)
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研究分担者 |
中村 新男 名古屋大学, 工学部, 教授 (50159068)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アルカリハライド / 自己束縛 / 励起子 / 超高速緩和過程 / 時間分解分光 / フェムト秒 |
研究概要 |
電子・格子相互作用の強いアルカリハライド結晶では、帯間励起によって容易に格子欠陥が生成される。その過程で生成される“自己束縛励起子(STE)"は格子欠陥の前駆状態として重要である。自己束縛過程は非常に高速であるため、その内容については未知な部分が多い。本研究では、フェムト秒パルスを用いて帯間励起、または自由励起子の共鳴励起を用いて、自己束縛過程の本質を探究した。 4.2Kにおける沃化カリウム(KI)を波長302nmのフェムト秒パルスの2光子吸収を用いて励起した。励起から10ps間での間、波長600〜1000nmにわたって広いなだらかな吸収が観測された。スペクトル解析の結果、これはSTE、600nmより短波長に中心を持つ吸収帯、そして、900nmに中心を持つ赤外領域の吸収帯から成ることが分かった。STEは吸収ピークエネルギーのStokesシフトとイオン半経の関係(Mollwo-Iveyの関係)から3つのタイプに分類されている。通常KIで観測されるSTEはtype-IIであるが、この関係を用いてtype-IIIのエネルギーを求めると1.37eVとなり、実験で得られた赤外吸収のエネルギーとほぼ等しい。従って、過渡的に見られる赤外吸収は、準安定状態として瞬間的に存在するtype-IIIのSTEであることが分かった。STEの3つのタイプは形態(イオン配置)が異なっていると考えられており、この実験結果は、最終的に最も安定なイオン配置に至る前に、準安定的な配置を経由していることを示している。 また、励起波長を変えて、自由励起子を励起した結果では赤外領域に吸収は見られなかった。これは、励起波長によってその緩和過程(自己束縛過程)に違いがあることを示している。
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