研究概要 |
Ce_3Au_<3->xPt_XSb_4(X=0〜3)系でのSystematicな物性測定が本科研費での最も大きな成果である。X=0すなわちCe_3Au_3Sb_4ではCeイオンの価数が3+であり半導体的性質をしめす。Xの増加と共に帯磁率は低温でPtの量に相当してCe^<3+>の寄与が減少している。然し乍ら高温領域でのCurie定数から求められるCeのモーメントはXの値に無関係にCe3+(4f^1)になる。半導体的性質は全てのXで観測される。これらの実験事実は半導体的価数揺動物質のエネルギーギャップの起因の解明に大きな指針を与えた。詳細は1993年米国サンジエゴで開催された強相間の電子系に関する国際会議SCES'93に招待講演として筆者より発表された。要点は以下の如きである。Pt(Auより電子数が一個少ない)の添加と共に価電子帯にホールが出来,此の穴を埋めるべくフェルミエネルギー以下にあったf^1のレベルがエネルギーギャップ内に持ち上げられf^0となる。従って半導体的性質はXの如何に拘わらず維持される。温度の上昇と共に,価電子帯から空のf^0レベルに電子が励起され再びモーメントをもち始めて帯磁率は増加する。さらに高温では温度による擾乱で帯磁率はCurie-Weiss則に従って減少する。この結果は実験事実とも一致する。現在,以上のモデルを使用して他の価数揺動物質,たとえばYbB_<12>にも適用して普遍的概念の確立を目指して数値計算を行っている。我々は更に,大きな結晶の作成が困難と言われていた同型のCe_3Pt_3Bi_4(エネルギーギャップの大きさや帯磁率がピークを示す温度がCe_3Pt_3Sb_4の〜1/4)の結晶も作成した。このホール効果の測定よりさらにモデルの精密化を進行させている。これらの新しい結果に関しては,1994年8月アムステルダムで開催予定SCES'94で発表の予定である。
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