研究概要 |
以下の研究計画調書の目的に書かれた項目にしたがって、本研究の実績を報告する。 1.塑性変形を考慮したモデルの確立…接触する2つの面の真実接触部において、塑性変性をも取り込んだモデルを構築した。このモデルによるシミュレーションをおこなったところ、岩石実験において普遍的にみられるヒステリシスやオフセットが明瞭に現れた。この結果はJ.Geophysical Research,99に2つの論文として掲載された。 2.時間の寄与を考慮したモデルの確立…摩擦力が時間、あるいはすべり速度に依存するという事実は良く知られているが、このプロセスを詳細に調べる目的をもって、脆性材料を対象としたインデンテーションテストを行なった。この結果、アスペリティの変形速度はアスペリティの衝突速度に大きく依存するという新たな知見が得られた。この結果については、Geophys.Res.Lett.,22に掲載された。 3.コンピュータによる摩擦挙動のシミュレーション…相対的に変位する2つの面の間で、アスペリティ接触が変位とともに変化する様子を、コンピュータ・シミュレーションによって観察し、これをモデル化した。これによりrate and state variable friction lawにおけるパラメータ、Dcの物理的な意味を、真実接触面積の推移という観点から定量的に見積れることがわかった。この結果については、地震学会およびIUGG(アメリカ、コロラド州)において発表する予定である。 4.その他…本研究はトライボロジの分野での研究成果によるところが大きい。そこで、研究計画調書には銘記していないが、地震学における摩擦の研究を、トライボロジの分野の研究者に紹介するための投稿を行なった。これは、トライボロジー学会の機関誌『トライボロジスト』に掲載された。さらにこの英訳が、Japanese Journal of Tribologyに掲載された。
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