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雲仙普賢岳の溶岩ドームと火砕流の温度履歴

研究課題

研究課題/領域番号 05640496
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 地質学
研究機関信州大学

研究代表者

三宅 康幸  信州大学, 理学部, 助教授 (70200144)

研究分担者 山口 佳昭  信州大学, 理学部, 教授 (50144689)
秋山 雅彦  信州大学, 理学部, 教授 (20015580)
研究期間 (年度) 1993
研究課題ステータス 完了 (1993年度)
配分額 *注記
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード雲仙普賢岳 / 溶岩ドーム / 火砕流 / 角閃石の酸化 / 炭化木片 / 炭化物の反射率 / 赤外線吸収スペクトル / FT-IR
研究概要

本年度、4回、延べ26日間にわたり、国立大学合同観測に加わって雲仙普賢岳の観測にあたった。その間、1991年6月から1993年6月にいたるまでの間の火砕流堆積物から、岩石・火砕物試料約40、炭化木片試料12点を採取した。それらの試料から得られた成果は以下のようである。
1)溶岩ドーム自体の温度を火砕流堆積物中の本質礫の鉱物の組み合わせ、および固溶体成分含有量から推定した。マグマの上昇・噴出・固結過程において温度は漸次下降しており、それに応じて晶出した鉱物から求めた温度は1,100〜750℃の範囲を示した。750℃にいたるまでには角閃石の晶出は終わっており、これまでに脱ガスがかなりの程度起こっていたと考えられた。脱ガスの後は輝石が晶出している。また、角閃石は火砕流形成以前に酸化しており、それらを研磨してFT-IRで観察し、酸化プロセスにおける脱水素の現象について明らかにした。
2)火砕流堆積物の堆積的における温度を炭化木片の有機化学的検討により推定した。とりわけ、1993年6月に、同年4〜5月の水無川沿い土石流の発生の際にえぐられたガリーにおいて6-8pfdおよび1991年9月15日火砕流堆積物(9-15pfd)の調査を行い、炭化木片試料を得た。ガリーは約230mの長さで西北西-東南東方向に伸び、噴火前の水無川の河道よりも南に位置する。左右両岸に6-8pfdが露出する。一方、9-15pfdについては、本体は左岸にのみ分布し、右岸には9-15のサージまたは、ラピリストーンの薄い堆積物(ベニア堆積物)のみが見られ、つまりこのガリーがほぼ9-15pfd本体の南限である。9-15pfdは100-150cmの厚さである。6-8および9-15pfdには炭化樹幹が多く含まれ、それらからたち登る形態のガス抜けパイプが見られる。このガリーと、他の3地点で採取した炭化樹幹について炭化温度の推定を行った。木片の研磨面の油浸による単色光の反射率(Ro)を測定し、さらにFT-IRを用いて赤外線吸収スペクトルをとった。その結果、Roは6-8pfd、9-15pfdのいずれともより下流に行くにしたがって、それぞれ1.7→3.1、および1.0→2.8へと高くなる(高温になる)傾向が見られる。Ro値を、猿払炭(Ro=0.2)をマッフル炉を用いて150分加熱した実験の結果と比較することにより温度に換算すると、Ro=1.2で約350℃、2.1で約500℃程度である。同一地点で採取した樹幹の内部と外部とで温度を比較すると、低温のものでは温度勾配が見られるが、より高温のものでは勾配は見られない。
炭化温度の違いは、含まれる火砕流堆積物の中の礫の量の違いに対応していると考えられる。すなわち、流れ末端付近で礫の量が多い傾向が見られるので、マトリックスよりも熱容量の大きい礫によってより長時間高温に保たれた場所の炭化温度がより高かったと考えた。

報告書

(1件)
  • 1993 実績報告書

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公開日: 1993-04-01   更新日: 2016-04-21  

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