研究課題/領域番号 |
05640504
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
前島 渉 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (20173700)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 和泉層群南部相 / 下灘累層 / ファンデルタ / 横ずれ堆積盆 / 堆積学 / テクトニクス / 白亜紀 |
研究概要 |
和泉層群南部相の地層のうち、淡路島南部地域の下灘累層を対象として野外調査ならびに採集試料の室内解析を行なった。特に、堆積相の解析のため、露頭状況の良い海岸に重点をおいて精査した。また、比較のため、かねてより調査を進めていた北縁相の地層についても検討を行なった。これらを通じて以下の成果を得た。 1.従来、下灘累層は下部の下灘細砂質シルト岩層と上位の下灘白色砂岩層に層序区分され、両者が断層・褶曲により繰り返し分布するとみなされていた。本研究では、下灘累層の層序を再検討し、同累層が大局的には同斜構造をなすこと、主部相の地層と同様に上位の地層ほどより東に分布することが明らかとなった。このような極性は、下灘累層の堆積テクトニクスが和泉堆積盆形成の横ずれ運動と深い関連を持っていたことを示唆する。 2.下灘累層の下部を構成する砂岩礫岩層はデルタやファンデルタ起源の堆積物であることが明らかとなった。特に、ファンデルタ堆積物は、堆積物重力流起源の礫岩を主体としており、粗粒物質の大量かつ急速な供給のため斜面傾斜の大きなファンデルタが生じたと想定される。また、古流向の解析により、これらのデルタおよびファンデルタは、北ないし北西から砕屑物の供給を受けていたことが明らかとなった。これらのことから、横ずれ運動に伴う和泉堆積盆の主堆積域(タービダイト堆積域)の東への移動とともに、それまでの主堆積域が急速に上昇に転じ、その南に下灘累層のデルタやファンデルタ堆積物が形成されたと考えられる。 3.和泉山脈牛滝地域の北縁相の地層は、南部相の下灘累層と同様、堆積物重力流起源の礫岩が卓越する急斜面性ファンデルタ堆積物であることが明らかとなった。ただし、急斜面の形成は南部相の場合と異なり、横ずれ運動に伴う堆積盆拡大時の堆積盆縁の急速な沈降に起因すると考えられ、両者の造構上の位置は異なっている。
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