研究課題/領域番号 |
05640508
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
斎藤 靖二 国立科学博物館, 地学研究部・地学第一研究室, 研究室長 (00000133)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | チャート / 付加体 / 付加作用 / インジェクション / 沈み込み帯 |
研究概要 |
ジュラ紀付加体の秩父帯と美濃帯、および白亜紀から第三紀の付加体である四万十帯の層状チャートについて、関東山地と木曽川流域および高知横浪地域において地質調査を行ない、岩石試料を採集した。とくに前二地域では、崩壊堆積を支持する角礫状となった層状チャートが認められた。層状チャートは遠洋性の深海堆積物であるので、その独特な産状は海溝におけるプレートの沈み込みを示唆するものである。さらに陸源泥質物質の破砕された岩体中への挟み込みや顕微鏡オーダーでの網状細脈は、高間隙水圧下でのインジェクションと考えられる。これらは沈み込みにともなう付加プロセスにおける重要な地質現象と理解され、海溝での崩壊あるいはオフスクレーピング、より地下深部でのアンダープレーティングを推定する手がかりである。こうした野外の産状は、比較研究用の基礎的データとして一部光磁気ディスクに保存された。また変成作用を受けていることもあって、従来時代が不明確であった関東山地の柏木ユニットおよび万場ユニットから、早期から中期ジェラ紀を示す放散虫化石が発見され、秩父帯の付加体形成の年代が早期ジュラ紀まで遡ることが明らかとなった。 当館所蔵の層状チャートをふくむ珪質堆積岩類については、さきに岩石標本カタログの(10)として刊行したが、収集した岩石試料については化学分析用の研磨薄片を作成し、整理登録が進められている。研磨薄片についてはエネルギー分散分析と後方散乱電子像観察を行ない、構成鉱物種の同定が進められた。同時に、野外の産状に対応するより精細な岩石組織の観察がなされ、付加作用が地質岩石にどのように反映されているかの検討がなされた。その結果、付加体を構成する堆積岩は堆積作用や続成・変成作用を記録しているだけではなく、付加プロセスにおける破壊作用を記録していることが明確になった。
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