研究課題/領域番号 |
05640525
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 謙一郎 東北大学, 理学部, 教授 (00004276)
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研究分担者 |
石川 賢一 東北大学, 理学部, 助手 (20158744)
長谷中 利昭 東北大学, 理学部, 助手 (50202429)
吉田 武義 東北大学, 理学部, 助教授 (80004505)
藤巻 宏和 東北大学, 理学部, 助教授 (90133933)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 同位体 / 北上山地 / Rb-Sr年代 / アイソクロン / 白亜紀 / 中生代 |
研究概要 |
本年度は北上山地北部の太田名部深成岩体と、その更に北にある久喜深成岩体のRb-Srによる年代学的研究と、地球化学的なマグマの成因・進化の研究をおこなった。太田名部深成岩体から採集した岩石はダイオライトからアダメライトまであり、化学組成も鉱物の量比も様々であるが、全ての岩石がおよそ1億2千5百万年のアイソクロンのラインに載っているか、近接している。このことから、太田名部岩体のマグマは生成した後、一度ほぼ均質化され、固結した後も著しい変質作用などを受けなかったことを示している。初生^<87>Sr/^<86>Sr比は0.7038と非常に低く、東北地方の第四紀火山岩とほぼ同じか、それよりもやや低い位である。太田名部岩体は、西側の田野畑岩体などと比べてルビジウムやカリウムなどのインコンパティブル元素濃度が2-3倍もあり、現在^<87>Sr/^<86>Sr比は0.705-0.709程度である。ルビジウムやカリウムなどが多いものの、初生^<87>Sr/^<86>Sr比が低いことから、太田名部深成岩体マグマの生成に古い地殻物質が関与したとは考えにくい。一方、北部の久喜岩体から収集した岩石は岩石はダイオライトからトナライトで、非常に良く似た岩石であり化学組成の変化も、鉱物の量比の変化も大きくはない。それにもかかわらず、全試料では1つのアイソクロンを作れない。特定の試料を除いて、実験を行った試料のうちほとんどは1億2千万年のアイソクロンの上に載っているか、その付近にある。特定のいくつかの試料はアイソクロンとは無関係の位置に示されるが、1億2千万年はこれらを除いて得た結果である。このことから、久喜岩体のマグマは固結前に均質化されなかったか、固結後も初生変質や熱水変質でRb-Srが閉鎖系を保てなかったことを示している。久喜岩体の初生^<87>Sr/^<86>Sr比も非常に低く0.7037と、東北地方の第四紀火山岩と同等である。これらの結果を総合すると、久喜岩体は非常にdepleteした島弧地殻が部分溶融してできたマグマが、均質になることができずに固結したものである可能性が高い。
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