研究概要 |
本研究は四万十帯の砂岩の重鉱物を研究し、四万十帯の変成作用がどのようなものであったかを研究したものである。四万十帯の砂岩中の重鉱物は、残留鉱物としてzircon,garnet,tourmaline,apatite,monazite,spinel,TiO2 polymorphがある。弱い変成作用でepidote,titanite,allanite,ilmenite,laumontiteが出現する。残留鉱物の分解はmonaziteで顕著で、変成作用によりallaniteに変化する。titaniteやilmeniteはTiO2 polymorphを消化して成長するが、epidoteは、鉱物の粒間にできる。 今までに四万十帯で変成作用を受けていることがわかっていたのは、関東山地や静岡北部の秩父帯側や九州中部で知られていた。今回の調査で、四万十帯の秩父帯側のほとんどが弱い変成作用を受けていることが判明した。また、白亜紀と古第三紀の境界でも弱い変成作用があることが判明した。関東の一部ではあるが、この弱い変成作用の年代を求めたところ5000万年前であった。このデータは九州ですでに報告されていたデータと調和するもので、この時期に四万十帯全体に変成作用があったものと考えられる。
|