研究概要 |
1、1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、dppfeを含んだMnカルボニル錯体およびRCCo_3(CO)_9を単位ユニットとし、これを2個以上組み込んだ複合金属クラスターをいくつか合成し、その電気化学的挙動をBAS製electrochemical analyzerで解析した。 (1)Mn-dppfe系の化合物として新たにHMn(CO)_3dppfe,ClMn(CO)_3dppfeを合成し、単結晶X線解析を行った。これらの化合物とこれまでに報告した(MeCp)Mn(CO)_2dppfe,(MeCp)Mn(CO)dppfe,{ClMn(CO)_4}_2(μ-dppfe)のcv,ディファレンスパルスポーラロ、対流ボルタンメトリーの測定を行い、redox過程とredoxサイトを確定した。各化合物中のMnのE_<pa>値とA対称のν(CO)値の間に良い相関があることが判明した。 (2){-CCo_3(CO)_x}_n.SP系の化合物としてp-{(CO)_9Co_3C}_2-R(R=-C_6H_4(1),-C_6H_4-C_6H_4-(2)),{RCCo_3(CO)_8}_2(μ-dppfe)(R=Cl(3),Me(4),{ClCCo_3(CO)_8}_2(μ-dppe)(5)(dppe=1、1'-ビスジフェニルホスフィノエタン)の合成とcv測定および化合物1、4、5の単結晶X線解析を行った。化合物1は2-5と異なり、その還元過程で二つのCo_3クラスターユニット間の強い相互作用を示した。この事実は1ではredox軌道が非局在化している事を示している。つまり本研究テーマで言うごとく、redox軌道の局在化、非局在化が二つのクラスターユニットを結合するスペーサー分子の種類などによって制御出来ることが実証できた。
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