研究概要 |
本研究では,電荷移動型共役化合物の非線形光学効果に関する研究の一環として,1,2のほか関連する大環状共役化合物の合成,構造解析およびそれらの電子的および光学的性質の検討を行なった. 1および2の合成は研究計画・方法に基づき,1についてはn=1,2,4, 2についてはX=NO_2,H,Me,OMeの各誘導体の合成に成功した. 紫外・可視吸収スペクトルにおいて,顕著な溶媒効果を示す電荷移動型吸収帯が観察されることから,1および2は,予想通り,分極構造の高い寄与を有する共役化合物であることがわかった. 1の非線形光学効果に関する情報を得るために,参照化合物3,4とともに第三次高調波発生法(THG)により,3次の分子超分極率<γ>を測定した.その結果,i)共役末端にシアノ基の導入,ii)チオフェン環の数,iii)π-共役平面性の増大,とともに3次の非線形光学効果が高まることを明らかにすることができた。 現在,ポルフィリン誘導体2について光学的性質を測定中であり,非線形光学効果と分極構造との相関性について検討する予定である。
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