研究課題/領域番号 |
05640655
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
坂本 政臣 山形大学, 理学部, 助教授 (20036445)
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研究分担者 |
松本 昭 愛媛大学, 教養部, 教授 (00028987)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1994年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 二核錯体 / 希工類錯体 / 磁気的性質 / 蛍光特性 / 希土類錯体 |
研究概要 |
希土類イオンは、ハードな酸に属するために配置原子が限られ、しかも4-f電子が外殻の5s-および5p-電子によって遮蔽されており、配位子場の影響をほとんど受けない。これらのことが、希土類錯体についての研究を遅れさせている大きな理由だと言われている。本研究では、錯体化学にとって致命的欠点とさえ言われているそれら希土類の本来的特徴を、よりソフトなd-遷移元素と組み合わせることによって、逆に活用することをねらっている。すなわち、d-f元素系二核錯体を形成させることによって両元素の持っている性質の違いを一層明確にし、両金属イオンの共同効果に基づいて発現する機能を調べ、機能性錯体あるいは機能性材料創製のための基礎的データを提供することを目的とした。そのために、平成5、6年度の2年間にわたって、いくつかの新しい二核錯体を合成し、それらの性質を調べた。その結果、我々がこれまでに報告してきた「アミノアルコールなどの基質では、窒素原子がd-遷移金属サイトに、酸素原子が希土類-サイトに特異的に結合して取り込まれる(基質の特異的取り込み)」、「銅とガドリニウムとの間には強磁性的相互作用が働いている」、「ユウロピウムやテルビウムの蛍光強度が二核錯体の形成によって著しく減少する」と言った性質が今回の一連の二核錯体においてもあてはまることがわかった。特に、ニッケル(II)のsalen錯体ではピリジン中でもピリジンが溶媒和しないことが知られているが、今回のように二核錯体を形成すると基質が容易に配位できるようになることは興味深い。この性質を有機合成反応へと利用するにはあまりにも期間が短か過ぎたが、現在、進行中のものもあり、良い感触を得ている。また、銅(II)と同じ不対電子数を持つオキソバナジウム(IV)とガドリニウム(III)との間には磁気的相互作用が殆どないことから、従来から言われているようなスピン分極機構について再考の余地があるように思われる。さらに、蛍光特性におよぼすd-遷移元素の影響についてもまだまだ研究すべきことがあまりにも多い。これらのことも含めて、今後更にd-f元素系錯体について発展させたいと思っている。
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