研究概要 |
オクチルスルフイニルエタノール(OSE)を合成し精製した。エチレングリコール系の非イオン界面活性剤はトリエチレングリコールモノオクチルエーテル(C_8E_3)に変更した。C_8E_3は3相抽出法で精製した。 1.OSEとC_8E_3の水溶液密度を,大気圧下,25℃において測定し,見かけのモル体積(phi_V)を計算した。phi_Vの濃度変化を解析し,OSE,C_8E_3モノマーとミセルのモル体積を得た。OSE,C_8E_3ともに臨界ミセル濃度(CMC)でモノマーからミセルへのモル体積の不連続な増加が見られ,ミセル形成の体積変化が正であることがわかった。混合系については,ミセル中で非理想混合をするOSEと塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(DTAC)の混合系について密度を測定した。phi_Vの濃度依存性からモノマーとミセルのモル体積を見積り,さらに,CMC値を決定した。この系のCMCの組成依存性は下に凸で,ミセル中で異種分子間の相互作用が強いことがわかった。体積挙動とミセル中での混和性の関係に注目し,現在実験結果の解析を行っている。混合系については,今後,理想混合のOSE-C_8E_3系,弱い相互作用をすると予想されるOSE-ペルフルオロオクタン酸ナトリウム(SPFO)系について測定を予定している。 2.OSE,C_8E_3,およびテトラエチレングリコールモノドデシルエーテル(C_<12>E_4)の水溶液についてピエゾメータを用いて圧縮係数を測定し密度に換算した。密度から高圧下でのphi_V,CMC値を得た。CMCは圧力とともに増加し,1気圧付近の圧力でのミセル形成の体積変化は正の値であり,大気圧下での測定と一致した。このように,高圧下での非イオン性界面活性剤のミセルの挙動に関する有用な知見が得られつつある。これらの界面活性剤についての高圧下での実験は,現在,測定を継続中である。
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