研究概要 |
1.室温以下の低温においても,酸化マグネシウム触媒上には一酸化炭素の1ないし4量体(オリゴマー)吸着種が容易に生成することが分かった.このうち3および4量体吸着種は特殊な結合を分子内にもつ珍しい化合物であり,一酸化炭素の有効利用の観点からその単離が望まれるが,現段階では単離に成功していない. 2.オリゴマー吸着種のうち3量体吸着種は熱的にも安定で,一酸化炭素の濃度が低くても大量に生成可能である.しかし一方,酸素や水蒸気が共存するとその生成が阻害されるなどの問題点が残されている. 3.オリゴマーの生成は,表面の配位不飽和マグネシウムイオン上への一酸化炭素1分子のモノマー吸着から始まる.一部のモノマーは,隣接位置の酸素イオンの配位数に応じてさらに一酸化炭素分子を付加してオリゴマー生成に至る. 4.オリゴマーの生成には表面のマグネシウム-酸素の配位不飽和隣接イオン対の存在が必要である.つまりオリゴマー自身は塩基点である酸素イオン上に吸着しているが,その生成の第一段階とオリゴマー自身の安定化には酸点であるマグネシウムイオンの存在が不可欠である.またこれら配位不飽和表面イオンの配位数を決めることができた. 5.単量体吸着種の挙動:一部の単量体吸着種は,格子欠陥を含む活性点上で非常に興味ある相互変換を行うことが判明した.この相互変換を通じて格子酸素と分子内酸素との交換が低温で可能となる.この相互変換の機構を分子軌道法計算によって説明した. 6.酸化マグネシウム触媒上での一酸化炭素の反応性(特に酸化反応)との関連で,二酸化炭素の吸着状態やパラジウム系金属触媒上での一酸化炭素の酸化反応も調べた.
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