研究課題/領域番号 |
05640784
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白山 義久 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60171055)
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研究分担者 |
小島 茂明 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20242175)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 線形動物 / 系統分類学 / 分子生物学 / 18SrRNA / PCR法 / 分子進化速度 |
研究概要 |
18SrRNA遺伝子について、既に報告されている2種の線形動物(Caenorhabditis elegansおよびStrongyloides stercoralis)の塩基配列と、他のいくつかの後生動物のものとを比較し、保存的な領域を選定したのち、その部分の塩基配列に基づいてプライマーを作成した。本補助金に基づいて作成したドレッジを用いて、大槌湾から自由生活型で有性生殖性の線形動物であるSymplocostoma sp.とMetachromadora sp.の天然個体群を採集し、全DNAを抽出した。それを鋳型とし、前述のプライマーを用いたPCR法により、18SrRNA遺伝子を増幅することに成功した。さらに、前種のものについては、その塩基配列を決定した。公表されている線形動物2種および他のいくつかの動物門の18SrRNA遺伝子の塩基配列のデータを利用し、原生動物を外群として、今回得られた新たな塩基配列の系統的位置を最大節約法により求めたところ、Symplocostoma sp.と既知の線形動物2種との単系統性が強く支持された。この結果によって、今回得られた配列が間違いなく線形動物のものであることが確認され、さらに「分子系統学的な解析で、線形動物がしばしば常識的でない系統的位置をとるのは、材料に単為生殖性の種を使ったためのアーティファクトである」という仮説が明確に否定された。同じ配列データを距離法により解析すると、線形動物は、原生動物を含めた他の全ての動物に対して独立した単系統群となった。このことは、線形動物において18SrRNA遺伝子の分子進化速度が、他の動物門より著しく速いことを示している。最大節約法は分子系統解析に最もよく用いられているが、比較するグループ間で分子進化速度が異なる場合、正しい系統関係が得られないことがあると言われている。距離法の結果からみて、今回の線形動物のデータも、この例である可能性が高い。
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