研究概要 |
負性抵抗の観察 発光,電子放出の解析の前に、非常に特徴的な負性抵抗を重点的に調べた。フォーミングにより連続的な低抵抗膜が、いったん高抵抗になりその後に特徴的な負性抵抗を示す。SEMで観察した結果、亀裂が入りその中に微粒子島状膜が出来ていた。Au,Pt,Pbで顕著な負性抵抗が観察されたが、Auに比べて、Pt,Pdでは負性抵抗の落ち込みが少ない。次に述べる負性抵抗の生ずる機構と関連して、フォーミングの過程で物質により、微粒子の大きさと分布が変化するためと考えられる。 負性抵抗の原因 電極間に分布した微粒子により、負性抵抗が生ずる可能性について理論的に考察を進めた。その結果、電極間に4つの島が存在する系について、モンテカルロシュミレーションにより負性抵抗現象を出すことができた。これは世界でも初めての結果であり、現在論文を準備中である。 いわゆる単一電子トンネリングの階段状の電流電圧特性が生ずる原因は電子の供給する側は充分速くトンネル可能であり、電子が逃げていく側がトンネルしにくいときに微粒子に電子が貯まり、その個数が増加するごとにステップ上に電流増加する。電極から電極に4つの島を経て電子はトンネルする際に仮定したことは、最後の島のギャップは他に比して大きく、3番目の島は2番目の島よりも高電位側にあるとする。電圧が低いときは、帯電エネルギーが寄与して、2番目の島から3番目の島に容易に電子は移れるが、電圧は高くなると、逆バイアスとなるために、トンネルしにくくなり、第二の島に電子が貯まり、電子が貯まると第1の島から第二の島に移動しにくくなる結果、電流は減少する。同様のことが、高電界で、行き先のない島からの電子放出により、電流が流れている経路の近くの孤立した島が帯電すると、その経路の電流が減少することが起こりうる。この電子は容易には逃げられないので、いわゆるメモリー効果をもうまく説明する。
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