研究概要 |
固体のNMRイメージングは非接触、非破壊で固体材料のheterogeneityの計測を可能とするものであり材料の分析、評価の分野での活躍が大いに期待されている。しかし、固体では、いわゆるmotional narrowingがおこっていないためイメージングを行うのは技術的に非常に困難であり、その開発は非常に遅れている。 本研究の目的は、報告者が最近開発した時間反転マジックサンドイッチエコーによる固体NMRイメージング法の興味ある系への応用を推し進めると共に、テトラヘドラルマジックエコーを用いた新しい高分解能NMRイメージング法の基礎実験を行うことである。 報告者は、まず多重マジックサンドイッチエコー信号を用いたイメージング方式を弾性材に適用、プロトンの高分解能2次元画像を得た(J.Magn.Reson.A105,215-218,1993)。この実験により、従来の液体のイメージング法を用いたのでは技術的に困難であった弾性材の高分解能(100μm以上)イメージングが、新しく開発した固体のイメージング法を用いることにより、感度の飛躍的向上がもたらされ、容易に実行できることが示された。さらに、より硬い高分子材料に対しても同様の実験を行ったが、これらの材料においては弾性材ほどの高分解能を得るのは現状では困難であることが判明した。 そこで報告者は、より硬い材料においても高分解能を得ることが出来る新しい“self phase-encoding"による方法を考案し、予備的な実験を行った。この結果は、1994年春の日本物理学会で発表する。 さらに、マジックサンドイッチエコー法に変わる、テトラヘドラルマジックエコーによる新イメージング方式の基礎実験にも着手した。この実験における高速周波数スイッチングに必要なPTS社の周波数シンセサイザー(PTS250MJN5)及び、その駆動に必要なインターフェイスの購入、試作を本補助金により行った。実験結果は良好であり、近くテストサンプルに対して得られた結果を発表する予定である。
|