研究概要 |
本研究では,Pb-Sn共晶合金の鋳造試験片を作成し,室温,75℃,125℃での一定ひずみ速度引張試験,一定ひずみ振幅引張-圧縮繰返し試験,一定応力クリープ試験を実施した.引張試験は,ε=1.0×10^<-3>,10^<-4>,10^<-5>,10^<-6>s^<-1>の4種類のひずみ速度で,繰返し試験はε=1.0×10^<-3>s^<-1>,10^<-4>s^<-1>の2種類のひずみ速度でそれぞれ0.2%,0.4%のひずみ振幅で行った.またクリープ試験は,室温について4種類,75℃で2種類,125℃で1種類の応力レベルで行った.この結果に基づいて既存の統一型非弾性構成式を修正し,実験結果の記述を試みた.また各温度で繰返し応力クリープ試験と繰返し応力緩和試験も実施し,構成式のシミュレーション結果と比較した.以上の研究結果をまとめると以下のようである. 1.一定ひずみ速度引張試験のε=1.0×10^<-6>s^<-1>での流動応力は,ε=1.0×10^<-3>s^<-1>の場合に比べて室温では45%,75℃では25%,125℃では20%程度であり,ひずみ速度依存性が大きい.また温度が高いほど流動応力は減少し,ε=1.0×10^<-3>s^<-1>の場合,125℃の流動応力は室温の時の45%程度である. 2.この材料は繰返し軟化材であり,振幅が大きいほど軟化量が大きい.また軟化傾向に対するひずみ速度の影響はほとんど見られない.しかし室温に比べて75℃,125℃ではより速く飽和する. 3.クリープひずみ速度は応力レベルに強く依存し,例えば室温での10MPaの時の最小クリープ速度は20MPaの時の5%程度となる.またひずみ速度は試験温度にも極めて敏感である. 4.Chabocheモデルの移動硬化変数に対する発展式を修正したモデルは,上述の基本的実験結果を精度良く記述したが,繰返し応力クリープと繰返し応力緩和は表現できなかった.
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