研究概要 |
コースティックス法に超高速度カメラ,高温炉,衝撃負荷装置を組合せた装置により,種々のセラミックスについて高温動的破壊挙動を明らかにするとともに,コースティックス法の実験手法に関するいくつかの改良を行った。その結果,以下のような成果を得ることができた。(1)セラミックスの表面を高精度に研磨し,光学系に工夫を行うことによって,明瞭なコースティックス像を得ることができ,高温,動的負荷条件下においてもセラミックスの破壊挙動評価へのコースティックス法の適用が可能であることを示した。(2)ジルコニアセラミックスでは2mWガスレーザ光源により1200℃まで,また,窒化けい素セラミックスでは強力な35mWのガスレーザ光源により約1100℃までの実験を行い,ジルコニアセラミックスでは温度,負荷速度の影響が大きいが,窒化けい素セラミックスの破壊挙動に及ぼすこれらの影響はあまり大きくないことを明らかにした。(3)アルミナおよびサイアロンについては,特にコースティック像の増倍法を用いると大きな明瞭な像が得られることを示し,動的負荷条件下においても実験が可能であることを確かめた。(4)モードII負荷条件下の破壊問題にコースティックス法を適用することを検討した結果,この場合には初期曲線の影響はほとんどないことを明らかにし,さらに動的負荷条件下においても解析を試みた。(5)破壊時に発生するAE波の可視化像も得られることを明らかにし,このAE波像は表面波の速度で広がることを示した。(6)画像処理装置の導入により,実験の省力化,解析精度の向上を計れる可能性があることを示すとともに,弾性定数の測定に関しても非接触的,簡易測定法を提案した。以上の研究により,高温動的負荷条件下における強度評価のための実験方法の改良とともに,その基礎的手法を作り,さらに,2,3のセラミックスについて,強度評価のための多くの有用なデータを得ることができた。
|