研究概要 |
当申請の研究では,Ni基一方向凝固超合金Rene80H中空円筒試験片を用いて,1173K大気中において,引張・圧縮-繰返しねじりの高温低サイクル疲労試験およびクリープ疲労試験を実施した.得られた主要な結論は以下の様である. 1.これまでに高温多軸低サイクル疲労寿命の整理に用いられてきた,ミ-ザス型の相当ひずみ,最大主ひずみ,き裂開口変位に基づく相当ひずみ等のひずみ基準パラメータでは,一方向凝固超合金の高温多軸低サイクル疲労寿命を良好に整理できないことが判明した.一方,応力基準パラメータとしては,最大主応力,き裂開口変位に基づく相当応力が有効であることが判明した. 2.一方向凝固超合金試験片の高温多軸低サイクル疲労寿命を有効に整理することの出来るひずみ基準パラメータを開発するため,一方向凝固超合金の弾性定数異方性を詳細に解析し,ヤング率の異方性を加味した異方性主ひずみを新たに提案した.同ひずみを用いた寿命整理においては,Rene80Hの高温多軸低サイクル疲労寿命を係数2の範囲で整理することが可能であった. 3.ひずみ波形中にクリープ成分を含んだslow‐fast試験においても,寿命の絶対値は高温低サイクル疲労よりは低下するものの,クリープ疲労寿命は高温低サイクル疲労の多軸応力依存性と同様であった. 破損後のき裂伝ぱ方向を観察した.き裂伝ぱ方向は引張・圧縮ではモードI,繰返しねじりではモードIIであった.両試験の中間に試験において,モードIからIIへのき裂伝ぱ方向の遷移が観察された.
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