研究概要 |
1.既に提案している原子系/連続体等価変換式の正当性を以下の観点から明確にした. (1)等価変換式に現れる重み関数は,当該位置での原子の存在確率としての物理的意味をもつ. (2)連続体に対して定義される応力は,原子系と対応させる場合,寸法効果をもつ. (3)上記(2)の事実より,物質をマクロに見た時の応力は,ミクロに見た時の応力より高いという結論が導かれる.従って微小切削に単一せん断面モデルを適用すると,現象をマクロに見たことになり,高いせん断面せん断応力が得られる.逆に本研究の手法でミクロに見れば,それ程高い応力にならない。 2.原子系/連続体等価変換を原子モデルによるナリスケール切削の計算機実験に適用し,以下の結論を得た. (1)ひずみ分布は,マクロ切削と類似であるが,工具すくい面に接する切りくず内で引張りひずみになる点はマクロと異なる. (2)応力分布は,一次せん断域に集中域はないが,座屈の萌芽を示唆する主応力方向の乱れがある. (3)応力ひずみ関係は既存の塑性法則では記述不可能であり,座屈に関係した不安定現象であると考えられる.
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