研究概要 |
ボールエンドミルの送りマークが残留する粗さが50μmRmax程度の加工面を,鏡面と呼ぶにふさわしい50nmRmax程度の加工面にまで単一の工具でしかも高能率に得るためには,微粒の砥粒を用いた上で, (1)砥石の目が詰まらない, (2)高能率な加工を行うことができる, (3)研削性能が変化しない, (4)形状が変化し難く,耐久性がある (5)金型の曲面にうまくなじむ, といった性能をもつ砥石を開発する必要があるのではないかと考えられた. これらの問題点を同時に解決するために,本研究では(2),(4),(5)の必要を満たすような微粒のダイヤモンド砥粒を用いた高発泡メラミンボンドホイールの開発を行うと同時に,(1),(3)の問題点を解決するために遊離砥粒を併用したインプロセスドレッシングを行った.(1)〜(4)に関しては通常の変位切込み方式の加工で用いられている砥石にも要求される性能ではないかと考えられるが,金型の研磨に特有な(5)の項目を解決するために,砥石を発泡構造にすることによって砥石に形状追従性をもたせることを考えた.平成5年と6年の2年間に渡って研究を推進した結果,上記の(1)〜(4)の項目に関しては当初予定していたとおりの性能を持つホイールを試作することができたのではないかと判断される.一方(5)の項目に関してはホイールの弾性変形率を広い範囲で制御し得るには至っていない.従ってホイールの気孔率をさらに上げることによって,ホイールに形状追従性をもたせる研究を推進する必要が残されている.
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