| 研究概要 |
正方形断面を有する直管路内の圧縮性乱流境界層と多数の衝撃波の干渉の結果生ずる,いわゆる擬似衝撃波の内部構造の解明を,カラーシュリーレン法と二重露光レーザホログラフィ干渉計法による可視化,二次元レーザドップラ流速計(LDV)による境界層内の速度分布測定,および圧力変動測定(FFTアナライザを使用)により行った.本研究成果をまとめると次のようになる.
(1)カラーシュリーレン写真より,壁面圧縮性乱流境界層とλ形先頭衝撃波,わん曲第2衝撃波,第3衝撃波がいかに干渉するかを明らかにした.また,擬似衝撃波のホログラフィ干渉計写真より,擬似衝撃波の各位置で,密度は上昇,その後減少する,すなわち各衝撃波背後で,気流は膨張(post-shock expansion)することを明らかにした.
(2)擬似衝撃波直前から擬似衝撃波終了位置までの広い範囲にわたって流れ方向の流速分布をLDVにより詳細に測定した.その結果,次の諸点が明かとなった.境界層内の流速は先頭衝撃波前枝の影響を受け減少する.境界層は先頭衝撃波による圧力上昇の影響を受け急激に厚くなる.先頭衝撃波直後の位置では,中心部の流速は先頭衝撃波の垂直部分の影響を受け減速する,最大流速は境界層の外縁近くに現れる.擬似衝撃波終了点近くでは,流速分布形状は放物線形状になり,最大流速は流路中心部に現れる.
(3)擬似衝撃波内の圧力変動測定を行った.その結果,擬似衝撃波の振動と圧力変動の関連が明かとなった.(4)圧縮性乱流境界層と衝撃波の干渉現象の本質部分を示す圧縮性境界層の乱流特性(変動速度,乱れエネルギ,レイノルズ応力など)に関する基礎データを国内で初めて取得した.
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