研究概要 |
スパン方向中心位置にギャップを持つ粗さ要素を越えて発達する乱流境界層の内部混合機構を解明するため、4種類のギャップ寸法(G/δφ=1/8,1/4,1/2,1,Gはギャップ幅、δφは初期境界層厚さ)について、乱流量、組織構造、3次元構造解析等を実施した。なお、ギャップ高さHはH/δφ=0.135(内層領域内)と限定した。得られた結果及び今後の発展について、以下に列挙しておく。 1.スパン方向中心特性(平均及び乱流特性) (1)x/G=0〜1における乱流量分布から、ギャップ寸法を3種類に分類できる。すなわち、Sギャップ(G/δφ=1/8)、Mギャップ(G/δφ=1/4と1/2)、Lギャップ(G/δφ=1)である。 (2)流れ場の下流方向変化は、x/Gの値でまとめるとギャップ寸法によらずほぼ類似している。 (3)速度スケール、長さスケールはギャップ寸法により系統的変化を示す。 2.組織構造(VITA法及び4象限解析結果) (1)x/G=0では、最大増速位置の差異により特徴的な変化を示す。すなわち、G/δφ=1/8,1/4の場合、エジェクション事象が、一方G/δφ=1/2,1の場合、スイ-プ事象が卓越する。 (2)x/G=4では、スパン方向運動量輸送のため、スイ-プ事象が卓越する。また、ギャップ寸法の減少に伴い、エジェクション事象が減少する。 (3)x/G=4では、壁近傍で4象限からの寄与率が大きいが、粗さ要素高さ位置で2象限と4象限の寄与率が逆転する。間欠係数の分布は、寄与率の分布と逆の傾向を示す。 3.3次元流場と2次流れ (1)ギャップによる縮流とスパン方向拡大流による流れ場の変形は、ギャップ端近傍からの2次流れの発生の予測と対応して説明できる。 (2)平均速度勾配の変形から、3次元流場を区分できた。これにより、内部混合機構に及ぼす変形過程を推論できた。 (3)傾斜形熱線プローブ法及び熱源の導入による混合拡散過程の解析は、十分な結果が未だ得られていない。
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