研究概要 |
遠心羽根なしディフューザではディフューザ入口流れ角の低下にともなって半径方向の運動量が減少するため,ある流量係数の値以下では局所的に半径方向内向きの流れが発生し,やがて旋回失速に至る。本研究の目的は旋回失速初生流量の付近で発生するPrestall現象をとらえ,これを制御することで旋回失速の抑制を図るものである。 まず,旋回失速の発生とPrestallの関係を調べたところ,以下のことが明らかとなった: 1.旋回失速発生時には本実験装置では10Hzの卓越した周波数成分を持った強い圧力変動が測定されるが,失速の発生直前には,をれよりも高い14.5Hzの卓越した周波数成分を持つ圧力変動(Prestall)が必ず発生する。 2.熱線風速計を用いて速度分布の測定をした結果,このときPrestallに伴って,半径方向内向き流れの領域が局所的に発生している。 3.Prestall発生時にはディフューザのシュラウド壁面上半径位置gamma/gamma_0=1.16で最も強い圧力変動が観測される。次に,Prestallをディフューザシュラウド壁面の圧力センサーで検出し,それに応じて一定周期の制御流を周方向の同じ位置のシュラウド壁面に設けた制御孔からディフューザ内部流れに与えて旋回失速の制御を試みたところ,以下の知見を得た: 4.制御流の振幅を徐々に増加させることで,非制御時に比べて旋回失速初生流量を6%低下させることができた。 5.Prestallの固有周波数成分のみを制御流として与えても効果は同じであったが,制御流の周波数が固有周波数から10%程度離れると制御の効果はほとんど失われた。 6.Prestallの固有周波数で制御を行なっても,Prestallに対して位相差があると抑制効果が無く,適切な位相制御も合わせて必要である。
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