研究概要 |
一様流中において地面板上に直立する有限長円柱(アスペクト比λ=1〜12)に作用する組織性変動流体力の詳細を明らかにした。すなわち,まず,有限長円柱の表面圧力変動および円柱近傍・後流中の速度変動を半導体圧力センサおよび熱線流速形を用いて検出し,FFT分析することによって,周波数領域における組織変動の有無の検証を行い,次に表面変動圧力に対して円柱近傍の速度変動中に含まれる組織変動周波数成分を基準信号とした位相平均処理を施すことによって,組織性変動圧力の時間領域における詳細を定量化した.さらに,これより局所的あるいは円柱全体としての組織性変動流体力の時間的推移を分離・抽出し,これらの組織性変動流体力に及ぼすアスペクト比の影響を明らかにした.本研究によって得られた主な知見をまとめると,以下のとおりである. 1.有限長円柱の空力特性は時間平均特性も組織的変動もアスペクト比に大きく依存するが,アスペクト比が7あるいは8を境にして大きく変化し,これ以上のアスペクト比の円柱を高アスペクト比円柱,それ以下を低アスペクト比円柱として区別して考えることができる. 2.有限長円柱には,アスペクト比およびスパン方向位置に応じて種々の周波数・強さの組織変動が発生する.特に,より複雑な流れを呈する高アスペクト比円柱の場合には,以下の三種類の組織変動が認められる. (1)地面近傍成分・・・地面近傍に生じ,二次円柱における放出渦列(カルマン渦列)に相当する組織変動であり,そのストロハル数は,アスペクト比に応じて0.15-0.21となる. (2)端面成分・・・円柱端面部および端面近くに側面に生じる組織変動成分であり,そのストロハル数は約0.075である。 (3)中間領域成分・・・円柱スパン中央付近に生じ,特性は上記の二成分の中間的性質を有し,ストロハル数は約0.15である.
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