研究概要 |
衝撃波管を利用して高速の圧縮性渦輪を生成し,(a)2つの渦輪が正面衝突する場合,(2)斜め衝突する場合,および(c)平板に衝突する場合について,色素パルスレーザを光源としたシャドウグラフ法および偏光レーザ干渉法により,渦と衝撃波の干渉,渦による衝撃波の発生,渦運動,渦の変形や渦線の変化の様子を観測した. 渦輪は,大気中で球面状に拡がった衝撃波と最初に相互干渉をする.ノズル内のマッハ数が1.2〜1.35の範囲では,衝撃波は渦輪によって回折,屈折し大きな影響を受ける.いずれの場合も,両渦核がその直径程度に接近すると,渦核間に定在衝撃波が形成される.この衝撃波の生成のメカニズムは,超音速ラバールノズル内で形成される衝撃波と同じ機構によることが,実験条件と同じ条件で行われ提出された数値シミュレーションの圧力分布等の結果から確かめられた.強い渦核が近くに存在し,圧縮された領域からその狭い隙間を通り抜けるような流れでは,渦核はノズル壁の役割をして,衝撃波が形成されると考えられる. 渦輪が接近するにつれて渦線は波打ちはじめる.この不安定波は接触状態になる前はクリア-に観測でき,レイノルズ数が高いほどその振幅は小さく波の数は多い.接触後渦線は互いに絡み合い,正面衝突では半径方向に大きく伸びて次第に消滅していく.斜め衝突では消滅と繋ぎ替えによる渦線のトポロジカルな様子は,数値シミュレーションの結果とほぼ一致している.渦輪が平板に近づくにつれて壁面上の剥離渦が成長し立ち上がり,渦核に巻付き絡まっていく,いずれの場合も渦線が接触し絡み合った後には,波の発生,伝播を示す軌跡が見られる.音波の測定結果との比較から,これらは渦線の絡まり合いなどによる渦度の大きな変化によって生じた音波であると考えられる。
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