研究概要 |
中低位熱エネルギーの有効な利用には、ランキンサイクルによる発電とヒートポンプによる昇温技術が有力な候補であり、その際、低沸点の炭化水素類やフロン類などの有機物質が作動流体となる。しかし、これらの冷媒は、外部熱源温度と蒸発あるいは凝縮温度との差が大きく、成績係数も小さくなる欠点を有する。そこで、既存の有機系冷媒に水のように優れた物性をもつ無機物質を混ぜた不溶性混合冷媒の利用により、熱損失を小さくしてサイクル効率を向上させ得ることが考えられる。代表者らはこれまで,凝縮熱交換器を対象に二成分不溶性混合冷媒の凝縮伝熱特性の詳細を、装置形状ならびに操作条件の最適化を含めて明らかにしてきた。 本研究は、不溶性混合冷媒による蒸発熱交換器の高性能化を目的に、二成層プール液中に置かれた水平単一加熱円管および管群を対象に沸騰伝熱特性について理論的・実験的に追究し、以下の成果を得た。 1.非共沸系を含む混合冷媒のサイクル性能について比較検討され,不溶性混合冷媒の有効性が明らかにされた。 2.低沸点高密度のパーフロロカーボン(PFC)と高沸点低密度の水系を用い,水とPFCの上下二層からなる成層プール液体中に置かれた水平単一加熱管による沸騰伝熱実験を行い、不溶性混合冷媒の沸騰曲線ならびに伝熱機構が明らかにされた。 3.沸騰熱伝達に及ぼす伝熱管配置および分離液層の液位影響について,理論的・実験的に明らかにされた。 4.管群(上下1列2段管)による実験を行い,管群効果を含めた伝熱特性が明らかにされた。 5.装置形状に対する伝熱管過熱度,液位などの操作条件の最適化が追究され,蒸発熱交換器の高性能化の基礎データを得た。
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