研究概要 |
本研究では、乱流予混合火炎のなかでも分散型火炎について、セラミック製断熱対向噴流バ-ナを用いてNOxおよび主要安定成分の排出特性を調べ、NOxの生成機構および分散型火炎の燃焼特性を検討した。本バ-ナでは混合気供給管出口をベルマウス状にしたために再循環領域の影響は著しく小さくなり、一次元的な濃度場が形成された。これは半径方向に伸長を受けた強い渦により、渦ベクトルと直角方向の混合が促進され、その結果濃度場は一様化され局所的な高濃度場は形成されないためと考えられる。 分散型火炎では、NOxにしめるNO_2の割合が高く、生成されるNOxはZeldovich機構により発生するよりもむしろprompt NOを発生源とするNOxが支配的であり、当量比とともにNOx濃度は増大する。完全な燃焼ガス中で発生するNOxはZeldovich機構によるものが支配的であり、その濃度は量論比で最大となる。本バ-ナから排出されるガス中のNOx濃度は極めて低くO_25%換算NOx濃度は完全に環境基準を満たし、またEmission Indexも1g/kgfuel程度である。 一方、3台のガスクロマトグラフを利用して安定化学種の多成分同時分析システムを開発し、O_2,N_2,H_2,CO,CO_2,CH_4,C_2H_2,C_2H_6,C_3H_6,C_3H_8,i-C_4H_<10>,n-c_4H_<10>の同時分析が可能となった。本システムは濃度の絶対量を求めるために絶対検量線法を使用いている。対向噴流バ-ナ火炎からの排気ガス分析の結果、燃料であるプロパンが分解して生成される炭化水素系の微量成分は、火炎帯の未燃混合気側でほぼ完全に消滅し、火炎帯の燃焼ガス側とは化学的構造が異なっていることがわかる。今後は温度測定、速度測定を行い、それらの結果と比較検討して、各成分の生成速度および熱発生速度などを求めることが可能となった。
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