研究概要 |
おもりを取付けた金属細線の共振振動数を計測することにより,高圧力下の流体の密度を測定する方法を用いるのが振動細線型密度計である。この方法は流体の密度測定法としては従来にはない新しい手法であり,本研究では入手できる理論にもとづき振動細線密度計を試作し,その基本性能を検証する開発研究を目的として行った。本研究により得られた主な成果は次のとおりである。 1.現有の振動細線密度計の共振振動計測システムを改良し,真空状態および大気圧下の流体中での測定精度を向上させた。その結果,基準状態となる真空での共振振動数の測定精度を0.05Hz以内,大気圧下の流体中でのそれを0.2Hz以内にすることができた。 2.n-ヘプタンを試料流体に選定し,室温,100MPaまでの加圧状態での検証実験を行い,加圧下での共振振動数の測定精度が0.5Hz以内であること,また,密度計の振動系に測定の障害となる顕著なヒステリシス現象やクリープ現象が生じないことを確認し,本密度計の高圧への適用性を明らかにした。 3.n-オクタンを試料流体に選定し,温度25℃,50℃,75℃,圧力100MPaまでの範囲において密度測定を行い,文献値との比較検討の結果,本密度計は0.4%の測定精度を示すことを明らかにした。 4.細線振動を利用する本密度計を高圧流体の密度測定に適用できることが実証されたが,さらにその測定精度を改善するためには試料流体中での共振振動数の測定精度を高めることが今後の課題である。
|